まさおのたわ言 2022年8月
小児ガンで息子の宗一郎くん(8歳)を亡くされたお父さんが書かれたメッセージ集より引用させていただきます。
『息子宗一郎のお話をしますね。彼は平成10年3月31日、光の世界に帰りました。 最後の3ヶ月は実は病院ではなく自宅で過ごしました。 そのときのわたしたちは必死でした。なんとかして病気を治してもとの元気な宗一郎になってほしかったんです。 病気を治すいろんな器械も購入して使いました。その他多くのことをやりました。でも、いまから思えばもっともっといっしょに楽しんであげればよかったと思います。日に日にやせ衰え、痛みに苦しむ息子を わたしたち夫婦は精一杯看病しました。自分では歩くこともできない息子をおんぶしてお風呂にそのままの姿で入ったとき、痛みが少しやわらいだ息子の顔はとてもしあわせそうでした。支えているわたしも泣きながら、お風呂につかっていました。いてくれるだけでうれしい。 生きていてくれるだけでありがたい。
夜はわたしと妻の間に宗一郎が寝るのですが、30分ごとに訪れる痛みをやわらげるためにわたしたちは彼の体の位置を変えて さすってやりました。 正直言ってとてもつらかったです…でも…でも…いてくれるだけでいい…彼がいなくなることがこわかったんでしょうね。つらい痛みの中でもできるだけ、わたしたちに笑顔を見せようとしていた子でした。「おかあさん、ごめんね」「もっと元気だったらおかあさん、おとうさんも疲れないのにね」「おかあさん、僕もっと生きたいよ!!!」 痛みが出ると治療器でその痛みをやわらげてあげました。もう、これはいけないなと思い、病院へ連れていく車中で、意識があまり定かでない宗一郎が、こう言うんです。
「おとうさん、おかあさん、信じ合って、助け合って、わかり合って生きてゆくんだよ」 「悲しいときや苦しいときほど、笑うんだよ」「自分をせめることが一番いけないことなんだよ」などと強い口調でわたしたちに言うのです。病院で最後のとき、たんが気道を満たして声にならない声で言った。最後の言葉が・・・ 「ありがとう」なんです。それまで全身の痛みで抱くことができなかったのですが、最期は母親に抱かれながら静かに息を引き取りました。』
(園庭管理者 勝連正男)