まさおのたわ言(2017年5月)
以前、検査のため、何十年振りかの入院の機会を得た。
そこは、消化器系疾患のお年寄りがほとんどで、4人部屋のうち、私を除くと3人全てが70歳以上の老人だ。二家族だけは奥さんと思しき方が毎日付き添いで寝泊りし、自分のベットの向かい側に入院されているおばあさんは、家族が見舞いに来るものの毎日2時間程度で切り上げていく。これは別に問題とは思わなかった。話を伺うと家族全員で弁当屋さんを営んでいるという。それだけに忙しいのである。
ある朝、担当医師が巡回して様子を伺うと、そのおばあさんは、気にかけていたことを医師に伝えた。「食後すぐに排便があると」。下痢ではないので、心配ないですよと答える医師に「看護婦さんに迷惑をかけるので・・・」とつぶやいていた。私自身心が痛む思いであった。というのも、前の晩に、ナースコールを押し続けるおばあさんへの対応を一部始終見ていたからだ。
看護師の「待ってね」の連呼に、見かねた私がおばあさんの意図を伝えにナースステーションへ呼びに行き、やっと対応してくれた。ところがこの看護師の言葉に愕然としたいささか怒り気味に「迷惑をかけないように・・・」。心無い一言が、返ってその老婆を傷つけてしまった。
ベットから降り歩くこともできない彼女の頼み綱はナースコール以外何も無い、ましてや夜間は看護師が少ないせいもあろうが、今までの夜の担当は、懇切丁寧におばあさんにしきりに話しかけ、点滴や薬の処方、オムツ替えなど、温かい対応があったからだ。その日はたまたま四~五十代の看護師で、その病院ではベテランの域に入るはずなのに・・・。病院の理念が「みなさまに信頼され、こころある病院」と控え室に書かれていたのも「絵に描いた餅」。職員に浸透していない事に気がついた。第三者的な御家族、見舞いの方がいる前では、対応がいい事を園に重ね合わせると気になることがいくつもあった経験になった。
(園庭管理者 勝連正男)